後戻りできない
私が坂井くんと会うのを躊躇する理由は、
大阪から名古屋へわざわざ新幹線を使って会いに行かなきゃならない上に、
会える時間はほんの3時間程度だということ・・・
わたしは行くことにした。
正直顔もあんまり覚えてないけど、気持ちだけが盛り上がっているこの状況。
会ったら生理的に無理かもしれない。
そしたらそれはそれでいいんじゃないかと。
大阪から名古屋へは新幹線で50分。
坂井くんの仕事が終わる時間に合わせて、
19時頃着くように大阪を出た。
名古屋発の最終の新幹線は10時半。
ほんの数時間のためにここまでするなんてバカバカしいと思ったけど、
もう気持ちが盛り上がっていた。
2回目に会った坂井くんはぼんやり覚えていたままだった。
目が細くて強面で。
それ以上に会話が楽しすぎた。
ごはんを食べたあと、車に乗り込むと
「ガムいる?」
と聞かれた。
「ちょーだい!」
と言うと、坂井くんは自分の口にガムを入れて、口移しでガムをくれた。
そこから流れるようにキスをして、
あっという間にホテルだった。
簡単な女です。私。笑。
安売りしたつもりはなかったが、別にお互い本気じゃないんだし、
気持ちのまま流されようと決めていた。
つづく。