好きになる時。
坂井くんは
「なっちゃん聞いてよーーーどーしよー」
と言った。
ひかるちゃんは、「わたしとゆみちゃんどっち選ぶの?」って感じだし、
ゆみちゃんは、控えめな感じだけど、ちょいちょい思わせぶりなLINEをしてくるらしい。
「贅沢な悩みやなーーー」
と笑ったけど、真剣に悩んでるみたいだったので、真剣に聞いて私の考えを話した。
「ありがとう」
いつもふざけている坂井くんが珍しくありがとうと素直に言ったのがかわいかった。
それからしばらく他愛もない話をした。
仕事の話、奥さんの話、旦那の話、紹介してくれたみきちゃんの話…気がついたら3時間も話していた。
色んな話をして、
「あの日の飲み会のさ、俺以外のメンバー全員がなっちゃんがいいらしいよー。」
と言うので、
「え、うっそ!なんで?」
と聞いたら、
「なんかエロそうやとー。」
だと。
そして、
「なっちゃんってそんなによかったっけー?ってなんか気になるよーになったわ。」
と言ってきた。
そう言われると私も急に意識した。
正直、森田くんと電話しても、こんなに盛り上がることはなかった。
だけど、わたしは坂井くんのタイプの顔とは程遠いうすーい顔。笑
「顔覚えてないでしょ?」と言うと、
「タイプではない!笑。けど、それはなっちゃんも一緒でしょ?」と。
坂井くんは、森田くんとは正反対の、細い目で短髪でサングラスが似合うような、ちょっと怖そうな風貌だった。
それからちょっとお腹が出ていた。笑
ぜんっぜんタイプじゃなかった。
「だね!笑。だってさ、飲み会の時お互いタイプじゃないからほとんど一言も喋ってないもんね!!!笑」
と言った。
次の日の朝。
「おはよう。今日最初のLINE、なっちゃんにしたかった」
とLINEが来た。
強面なのにかわいくてキュンとして、わたしの心はもう、完全に坂井くんだった。
つづく。