変化①
長いお正月休みだった。
それでも日常は続いていく。
旦那はお正月休みが明けて、出勤した。
私は、この日を待っていた。
武田さんに連絡したかった。
もう会えるとは思っていなかったけど、私の不注意で迷惑かけてしまったことを
謝りたかった。
番号は消したように見せかけて違う名前で登録していたし、
LINEの友達リストは非表示にしていた。
旦那が出勤した後、すぐ
「めいわくかけてごめんなさい!ちょっと話せますか?」
と送った。
「大丈夫?」
と返信が来たので、
「旦那仕事行ってます。謝りたいです。」
と返した。
すると電話が鳴った。彼だった。
「ほんっとにごめんなさい!」
と開口一番謝ると、
「いいよいいよそんなの、俺も軽率だった。ごめんな。」
と言った。そして、
「旦那さんより旦那さんのお兄さんが厄介やな」
と言ったので、びっくりして
「なんで?」
と聞くと、
「なんか、脅してきた。奥さんにばらしてもいいのかとか、誠意を見せろとか
それって、お金ってことなのかな?」
と言ったので、
「旦那は、武田さんに会うつもりもないって言ってたし、もうこれで終わりだと思うよ!奥さんには絶対言わないように私からも言うから!
てゆうか、お金なんて一言も言ってなかったし、それはないと思う!」
と言ったけど、なんだか腑に落ちないようだった。
「お互い懲りたし、ナツミはもうおとなしくしなよ!」
と言われた。
まだ終わりだと思っていなかったから、最後にもう一回だけ会いたいって言うつもりだったけど、とても私の立場でできる発言ではなかった・・・。
「ごめんね、ありがとう。また10年ぐらい経ったら会えるかな?」
と言ったら
「またいつかね」
と濁されたけど、それで十分うれしかった。
ほんとは二度と会いたくないと思ってるかもしれないし、変な終わり方をしたら奥さんにばらされると思ってそう言ったのかもしれないけど、
私は彼の優しさだと受け取ることにした。
その夜、旦那が
「週末にあいつに会いに行くことになった」
と言った。
浮気したのは私だけど、そんな私が思うことではないかもしれないけど、
なんだか私の中で旦那への愛情が薄れていくのを感じた。
つづく